いじめ防止基本方針

いじめ防止基本方針

1 はじめに
 いじめは、いじめを受けた児童の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命または身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものである。そこで、学校・家庭、地域社会が連携して、いじめ問題を克服するために、国の「いじめ防止対策推進法」、「群馬県いじめ防止基本方針」「安中市いじめ防止基本方針」をもとに「磯部小学校いじめ防止基本方針」を定める。

2 いじめ問題に対する基本的な考え方
(1)いじめ防止対策推進法について
 いじめ問題への対応は学校における最重要課題の一つであり、一人の教職員が抱かえ込むのではなく、学校が一丸になって組織的に対応することが必要である。これまでも学校において様々な取組が行われてきたが、未だ、いじめを背景として、児童の生命や心身に重大な危険が生じる事案が全国で発生している。そこで、社会総がかりでいじめ問題に対峙するため、基本的な理念や体制を整備するため、平成25年6月に「いじめ防止対策推進法」が成立した。
(2)いじめの防止等の対策に関する基本理念
 いじめは、全ての児童に関係する問題である。いじめの防止等の対策は、全ての児童が安心して学校生活を送り、様々な活動に取り組むことができるよう学校の内外を問わず、いじめをなくすことを目標に行われなければならない。また、全ての児童がいじめを行わず、いじめを認識しながら放置することがないよう、いじめの防止等の対策は、いじめが、いじめられた児童の心身に申告な影響を及ぼす許されない行為であることについて、児童が十分理解できるようにすることを旨としなければならない。
(3)いじめの定義
 いじめ防止対策推進法第二条では、「この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。」と定義されている。また、個々の行為が「いじめ」に当たるか否かの判断は、表面的・形式的にすることなく、いじめられた児童の立場に立つことが必要である。
具体的ないじめの態様は、次のようなものがある。
・仲間はずれ、集団による無視をされる
・軽くぶつけられたり、遊ぶふりをして叩かれたり、蹴られたりする
・ひどくぶつかられたり、叩かれたり、蹴られたりする
・金品をたかられる
・金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする
・嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをさせたり、させられたりする
・パソコンや携帯電話等で、本人の許可なく個人情報等を載せられたり、誹謗中傷や嫌なことをされたりする等
なお、上記の「いじめ」には、犯罪行為として取り扱われるべきものがあり、それらについては、教育的な配慮や被害者の意向への配慮のうえで、早期に警察に相談・通報の上、警察と連携した対応を取ることが必要である。
(4)いじめの理解
いじめは、どの子どもにも、どの学校にも、起こり得るものである。とりわけ、嫌がらせやいじわる等の「暴力を伴わないいじめ」は、多くの児童が入れ替わりながら被害も加害も経験する。また「暴力を伴わないいじめ」であっても、何度も繰り返されたり多くの者から集中的に行われたりすることで、「暴力を伴ういじめ」とともに、生命又は身体に重大な危険を生じさせうる。「悪ふざけ」という名目で加害側には、他意はないように見えても、靴等の私物を隠す「いたずら」や内緒話等の「仲間はずれ」等も、被害者の学校での意欲を著しく害するものである。加えて、いじめの加害・被害という二者関係だけでなく、学級やスポーツ少年団等の集団帰属の構造上の問題(例えば無秩序制や閉塞性・体育会的な絶対支配制)、「観衆」としてはやし立てたり、面白がったりする存在や、周辺で暗黙の了解を与えている「傍観者」の存在にも注意を払い、集団全体にいじめを許容しない雰囲気が形成されるようにすることも必要である。

3 磯部小学校におけるいじめの防止等の対策のための組織
 いじめ防止対策推進法第二十二条より、次の組織を設定する。
(1)組織の名称
 いじめ防止対策委員会
(2) 組織の構成
 校長、教頭、教務主任、生徒指導主任、教育相談主任、特別支援教育コーディネーター、養護教諭、学級担任、SSW、SC、児童委員、民生委員、スクールサポーター、学校運営協議会、PTA本部役員等からなるいじめ対策委員会を設置し、必要に応じて委員会を開催する。
(3)組織の役割
・いじめに関する情報の収集及び共有。
・いじめ事実の確認。対策案を練る。
・該当児童への指導、該当保護者への対応。
・学級への指導体制の強化、支援。
・外部組織への協力要請、又は、警察への通報。
・いじめ防止及び早期発見のための「心の安全点検」および「心のアンケート」調査の実施と結果分析

4 いじめの防止等の対策のための具体的な取組(※年間指導計画は別表)
 いじめ防止対策推進法第十六条により、早期に発見するための在籍する児童に対する定期的な調査、その他必要な措置を講ずる。
(1)学年・学級経営の充実
・「心の安全点検」(毎月)および「心のアンケート」(毎学期)の結果を生かして、児童の実態を十分に把握し、よりよい学年・学級経営に努める。
・「分かる・できる授業」の実践に努め、児童一人一人が成就感や充実感をもてる授業の実践に努める。
(2)道徳教育の充実
・道徳の授業を確保するとともに、児童が主体的に考える道徳授業の実践に努め、児童の自己肯定感を高める。
・全ての教育活動において道徳教育を実践し、人権尊重の精神や思いやりの心などを育てる。
(3)相談体制の整備
・「心の安全点検」及び「心のアンケート」を基に、対応策(児童間や教職員との人間関係づくり、保護者との相談など)を考え、校内ケース会議を中心に教職員全体で共通理解を図る。
・毎月の「心の安全点検」後に学級担任により教育相談を行い、児童一人一人の理解に努める。
・スクールカウンセラーと関わる時間を設定し、教育相談を充実させる。
(4)縦割り班(通学班)活動の実施
・縦割り班活動(通学班)で、協力したり協調したりすることを学習し、人とよりよく関わる力を身に付けさせる。
(5)インターネット等を通じて行われているいじめに対する対策
・児童のインターネットに関する使用状況を把握し、児童に情報モラル教育をするなどして迅速に対応する。
(6)学校相互間の連携協力体制の整備
・保育園・幼稚園や学童クラブ、第二中学校と情報交換を行う。

5 いじめ早期発見のための取組(※年間指導計画は別表)
(1)保護者や地域、関係機関との連携
 児童、保護者、学校の信頼関係を築き、円滑な連携を図る。保護者からの相談には、家庭訪問や面談により迅速かつ誠実に対応する。また、必要に応じて、福祉課、子供課、安中市教育委員会、西部教育事務所、中学校や発達障害通級指導教室などの関係諸機関と連携して課題解決にあたる。
(2)毎月の「心の安全点検」、毎学期の「心のアンケート」実施
 毎月第一週目に、「心の安全点検」、毎学期(6,11,2月)に「心のアンケート」を実施する。また、「心の安全点検」および「心のアンケート」をもとに、一人一人の児童と直接話をして思いをくみ取る。
(3)ノート・日記指導
 児童の休み時間や放課後の課外活動の中で児童の様子に目を配ったり、個人ノートや日記などから交友関係や悩みを把握したりする。

6 いじめに対する措置
・いじめと見られる行為を認めた時は、当該教職員がいじめ対策委員会に報告し、速やかにいじめられた児童、知らせた児童、関係児童・集団の話を聞けるような体制をとる。
・いじめられた児童・知らせた児童への安全を確保する。
・いじめ対策委員会を通し、学校全体で情報共有を図り必要な組織体制をとり、指導にあたる。
・該当保護者に連絡し、家庭訪問や学校で話し合いの場を設けるなどをして、事態の収拾に努める。
・安中市教育委員会に報告し、必要に応じて、関係機関と連携をとる。
・いじめに対する研修を行い、教職員の資質向上に努める。

7 重大事態への対処
(1)重大事態の定義
 いじめ防止対策推進法第二十八条で、次の場合を重大事態として、学校の設置者又はその設置する学校は、その事態に対処に速やかに事実関係を明確にするための調査を行うものと規定されている。
①いじめにより本校に在籍する児童等の生命、心身又は財産に重大な被害が生じた疑いがあると認められるとき。
②いじめにより本校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき。
ア「心身又は財産に重大な被害」については、いじめを受ける児童の状況に着目して判断する。
例えば、次のようなケースが想定される。
・児童が自殺を企図した場合
・身体に重大な傷害を負った場合
・金品等に重大な被害を被った場合
・精神性の疾患を発症した場合
イ「相当の期間」については、不登校の定義を踏まえ、年間30日を目安とする。児童が一定期間、連続して欠席しているような場合には、上記目安に関わらず、学校長、いじめ対策委員会の判断により、迅速に調査に着手する。
ウ児童や保護者からいじめられて重大事態に至ったという申し立てがあったときは、その時点で重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たる。
(2)重大事態への対処
・重大事態が発生した旨を、安中市教育委員会に速やかに報告する。
・教育委員会と協議の上、当該事案に対処する組織を設置する。
・上記組織を中心として、事実関係を明確にするための調査を実施するとともに、児童相談所、警察、青少年センター、医療機関等の関係諸機関との連携を適切にとる。
・上記調査結果については、いじめを受けた児童・保護者に対し、事実関係その他の必要な情報を適切に提供する。

8 保護者、地域等との連携
(1)保護者の役割
いじめ防止対策推進法第九条では、保護者は「子の教育について第一義的責任を有するもの」とされ、保護する児童等が「いじめを行うことのないよう」規範意識を養うための指導を行うとともに、いじめを受けた場合は「適切にいじめから保護する」ものとされている。また、保護者は学校等が講じるいじめの防止等に関する措置に協力するよう努めるものとされ、いじめの防止等に関する家庭の役割は極めて重要である。
(2)地域の役割
子どもが安心して過ごすことができる環境をつくることは、地域社会の大切な役割であり、地域において大人が子どもを見守ることも重要である。地域住民がいじめを発見したり、いじめの疑いを認めたりした場合は、学校や市教育委員会等の関係機関に速やかに情報提供や相談を行うよう啓発を進めていく。
(3)学校・保護者・地域の連携推進
・PTAの各種会議や保護者会・家庭訪問等の機会を利用して、いじめの実態や指導方針等の情報提供を行ったり、学校・学年・学級・ほけん通信を通して協力を呼びかけたりして、保護者との連携を推進する。
・日頃から、電話・家庭訪問・通信等を通して保護者との連携を密にして保護者からの相談を受けたり情報を提供したりしやすい雰囲気をつくり、いじめ指導に対しての理解・協力を得る。
・いじめ防止基本方針をホームページ等で公開することで、地域住民も巻き込んで、地域ぐるみの防止対策を効果的に推進する。
・磯部地区安全・安心まちづくりネットワーク、地域の青少年健全育成推進協議会等の関係団体と連携し、いじめ防止対策をする。